この記事は
- 配偶者の加給年金って何?
- 配偶者の加給年金がもらえる条件は?
- いくらくらいもらえるの?
という悩みを解決するために書きました。
配偶者の加給年金とは?
ざっくり説明しますと
厚生年金に長く加入していた方が老齢厚生年金を受け取るときに、扶養の配偶者の方がいる場合にはボーナスとして年金額を増やしましょう。
というものです。
似たものとして子の加算があり、これは子が大きくなるまでは年金額を上乗せしましょう。というものですが、今回は配偶者の加算分に絞って説明させていただきます。
※ちなみに年金制度での子とは以下の者を表します。
- 18歳到達年度の末日(3月31日)を経過していない子
- 20歳未満で障害等級1級または2級の障がい者
加給年金がもらえる条件

ではどうしたら加給年金がもらえるのか。
- まず厚生年金に加入し20年以上の期間保険料を納めていること。
- 配偶者が20年以上厚生年金に加入していない・障害年金を受けていないこと。
- 老齢厚生年金を受け取っている時に配偶者が65歳未満であること。
少しわかりづらいと思いますので上の図を見てイメージをつかんでいただければと思います。
Ⓐの方が20年以上厚生年金に加入していることがまず必要です。
ただしⒷの方が20年以上厚生年金に加入していると配偶者加給年金は受け取れません。(これは配偶者加給年金があくまで養っている配偶者がいる場合に受け取れるものという位置づけのためです。)
そしてⒷが65歳未満である必要があるため、Ⓑが年上だと配偶者加給年金は受け取れません。(これは65歳になれば配偶者が老齢基礎年金を受け取れるようになるからです。)
これらを総合的に見ていきますと
- Ⓑの方が年下で年の差がある場合
- あと数年でⒷの方の厚生年金加入期間が20年になる方
といったご家庭はあえて働き方を制限することも一つかもしれません。
実際いくらくらいもらえるのか
働き方を制限すると言っても実際いくらくらいもらえるのかがわからないと結論が出せませんよね。
受け取れる金額は
年額390,100円(令和元年度)です。(224,500円+特別加算165,600円)
金額としてはあまり多くはないかもしれませんね。
ただしⒷの方が19年厚生年金に加入しておりあと1年厚生年金に加入するかどうかという場面であればどうでしょうか。
老齢厚生年金の受け取れる額は以下の式で計算します。(ざっくり)
平均月給×(5.481/1000)×加入月数=老齢厚生年金の年額
例えば平均月給30万円で1年間(12月)厚生年金に加入した場合は
30万円×(5.481/1000)×12月≒年額19,700円
この金額が上乗せとなります。
例えば2歳の年の差の夫婦であれば配偶者加給年金額は
390,100円×2年=780,200円
1年厚生年金に長く加入することで受け取れる老齢厚生年金の額は先ほどの計算の通り
年額19,700円
なので
780,200円÷19,700円≒39.6年
40年ほど年金を受け取らないと損をする計算となります。65歳から受け取り始めると105歳。うーん、これは厳しいですね。
1年長く働いたがために損をする可能性が出てくるのは残念ですよね。
ただし誤解しないでいただきたいのは絶対に20年働かない方がいいというわけではもちろんありません。
各ご家庭で配偶者加給年金はいくら受け取れるか、あと何年厚生年金に加入できるか、月給はいくらか、国民年金の保険料を払うとするといくらかかるのか、第3号に該当するのかなど総合的に判断していただく必要があります。
そしてもちろん働くことで得られたであろう収入も考慮しなければなりません。
ただしそれでも一度じっくり考えてみる価値はあると思いますし、このような加算があることはぜひ知っておいていただきたいです。
最後に
私自身、配偶者加給年金なんて言葉すら聞いたことがありませんでした。
調べていく中でこのような制度があるならもっと早く知りたかったという思いがあり、皆さんにもぜひ知っておいてほしいとこの記事を書きました。
損か得かはあくまで「何歳差なのか」、「どこまで生きるか」にゆだねられており、結果論でしかありません。
ですので会社で働くのはあとわずかであり、かつ厚生年金の加入期間がもうすぐ20年という方は一度検討してみることをおすすめします。
そもそも老齢年金ってどんな仕組み?という方はこちらをどうぞ
