この記事はこんな方におすすめ
- 育児休業とは何かわからない
- 産休中だけど育休はどうなっているのか知りたい
- 育休はいつまで取得可能か知りたい
- 育休中の収入保障はどうなっているのか知りたい
- 夫婦での育休の取り方を考えたい
育児休業(育休)とは?

育児休業というのは法律で定められたものです。
「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」の第2条によると育児休業は労働者がその子を養育するための休業とされています。
まあその名の通り。当たり前ですね。
そしてその基本理念が第3条に書かれており
第 3 条 この法律の規定による子の養育又は家族の介護を行う労働者等の福祉の増進は、
これらの者がそれぞれ職業生活の全期間を通じてその能力を有効に発揮して充実した職
業生活を営むとともに、育児又は介護について家族の一員としての役割を円滑に果たす
ことができるようにすることをその本旨とする。
2 子の養育又は家族の介護を行うための休業をする労働者は、その休業後における就業
を円滑に行うことができるよう必要な努力をするようにしなければならない。引用:育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律
要は育児をしながら充実した職業生活を営むことができるように育児休業があるわけです。
第 10 条 事業主は、労働者が育児休業申出をし、又は育児休業をしたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。
引用:育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律
また、もちろん「育休を理由に解雇その他不利益な取扱いをしてはならない」となっていますので安心して育休を取っていただきたいです。
ただし、以下に該当する方は労使協定で対象外とすることができてしまうため注意が必要です。
- 雇用された期間が1年未満の労働者
- 1年(1歳以降の休業の場合は、6か月)以内に雇用関係が終了する労働者
- 週の所定労働日数が2日以下の労働者
育休はいつからいつまで?


一般的には産後8週間の産後休業終了後そのまま育休に入る方が多いとは思いますが、ではいつまで育休を取ることができるのでしょうか。
第 5 条 労働者は、その養育する 1 歳に満たない子について、その事業主に申し出ること
により、育児休業をすることができる。ただし、期間を定めて雇用される者にあっては、
次の各号のいずれにも該当するものに限り、当該申出をすることができる。
一 当該事業主に引き続き雇用された期間が 1 年以上である者
二 その養育する子が 1 歳 6 か月に達する日までに、その労働契約(労働契約が更新さ
れる場合にあっては、更新後のもの)が満了することが明らかでない者引用:育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律
つまり子が1歳に達するまで育休を取ることができます!もちろん男女間で育休についての差はありません。
※有期契約の雇用者も条件を満たせば育休を取ることができます。
また、子が1歳に達する日においていずれかの親が育児休業中であり、かつ次の事情がある場合には、子が1歳6か月に達するまで育休を取ることが可能です。
- 保育所等への入所を希望しているが、入所できない場合
※同様の条件で1歳6か月から2歳までの延長可
育休中はいくらもらえる?

育休が取れることは分かったけど休んでいる間の収入ってどうなるのか心配な方も多いのではないでしょうか。
産休中は出産手当金という保証があるように、育休中も育児休業給付金という保証がちゃんと用意されています!
出産手当金は健康保険からの給付でしたが、育児休業給付金は「雇用保険」からの給付となっています。
育児休業給付金を受け取る条件
- 雇用保険の被保険者であること
- 休業開始前の過去2年間で就業日が11日以上の月が12か月以上あること
- 会社から休業開始前の賃金の8割以上支払われていない
- 休業中の就業日数が月10日
少しややこしいのですが「正社員の方で1年以上働いている方が育休に入り特に就業しない場合は問題なく給付を受けることができる」と理解しておいてください。
休業中に会社から8割未満の給料が出ている場合育児休業給付金と給料の間で調整が行われ差額分を受け取ることができます。
育児休業給付金の計算方法
育児休業開始から180日:休業開始時賃金×支給日数×67%
育児休業開始から181日目以降:休業開始時賃金×支給日数×50%
※休業開始時賃金とは休業開始前6か月の賃金を180日で割った金額です。
例えば月30万円受け取っていた人が育休に入った場合は
休業開始時賃金=30万円×6か月÷180日=1万円なので
育児休業開始から180日までの一か月あたりの金額は
1万円×30日×67%=201,000円
育児休業開始から181日以降の一か月あたりの金額は
1万円×30日×50%=150,000円
となります。

ただし育児休業給付金の支給額には上限と下限があります。
(令和2年5月現在)
賃金月額の上限額=454,200円なので
上限額(67%)=304,314円
上限額(50%)=227,100円
賃金月額の下限額=75,000円なので
下限額(67%)=50,250円
下限額(50%)=37,500円
※毎年8月1日に変更になる可能性があります。
パパ・ママ育休プラスとは?

あまり知られていませんが、ぜひ皆さんに知っておいていただきたい制度として「パパ・ママ育休プラス」というものがあります。
これは男性の育休取得率の低さを背景に男性の育児参加や育休を後押しするために作られた制度であり、夫婦で育休を取れば従来より2か月長い1年2か月育休を利用することができます。
- 配偶者が子が1歳に達するまでに育休を取得していること
- 本人の育児休業開始予定日が、子の1歳の誕生日以前であること
- 本人の育児休業開始予定日は、配偶者がしている育児休業の初日以降であること
※ただし一人当たりの育休取得可能最大日数は1年間です。
わかりづらいので図を用いて説明します。

このように夫婦二人で育休を取れば1歳2か月まで育児休業給付金を最大限利用することが可能となるわけです。
育休と社会保険のお得な関係

と思った方もいるのではないでしょうか。
ここで皆さんに知っておいていただきたいのが、育休と社会保険料の関係です。
育休に入った際には会社から日本年金機構へ「育児休業等取得者申出書」を提出することになっています。
これを提出するとどうなるのかと言いますと、育休中の厚生年金保険料と健康保険の保険料がなんと「免除」になります!
皆さんが毎月払っている厚生年金保険料と健康保険料がかからないわけです。社会保険料は高いためこれはかなり大きいです。
しかもあくまで「免除」なので保険料を納めたものとして扱われます。つまり将来の年金額にももちろん反映されます!
免除になる期間としては休業開始月から終了月の前月までです。(終了日が末日の場合は当月まで)
例えば6月10日から9月15日まで育休を取ったとしますと、6・7・8月分の保険料が免除となります。
お気づきの方もいるかもしれませんが産休と全くと言っていいほど同様の制度となっているのでより詳しく知りたい方はこちらで確認してください。

そして社会保険料がかからないだけでなく、税金もかかりません。(これも産休と同様ですね)
つまり、もともとの収入の67%程度しか受け取れなくて心配かもしれませんが手取りだけで考えれば約8割程度は確保できる計算になります。
これなら思っていたよりも安心できるのではないでしょうか。
まとめ
- 育休は法律で定められた制度
- 育休は原則子が1歳に達するまで
- 保育所に入所できないなどの特別な事情がある場合は1歳6か月、そして最大2歳までの延長
- 育児休業給付金は雇用保険からの給付
- 育休開始から180日までは休業開始時賃金の67%、181日以降は50%
- 育児休業給付金には上限と下限がある
- パパ・ママ育休プラスを使うと1歳2か月まで育休取得可能
- 育休中は社会保険料が免除、税金もかからないため手取りでは約8割確保できる
産休や育休は名前は知っていても実際どういう制度になっているのかは全然知られていません。
ちゃんと知らないからこそ不安が大きくなってしまうのです。
きちんと制度を理解していれば、必要以上に不安を感じる必要はありません。
そしてどのように休暇を取るのか、どれくらいの金額を用意したらいいのかといった計画を立てることができます。
お金がないから子どもを産むのは厳しいかもと考えている方にこの情報が届きますように。
ただし公務員は制度が少し異なっていたり、会社によっては独自の制度を用意している場合もございますので、事前に確認しておきましょう。