この記事はこんな人におすすめ
- 教育資金をどう貯めたらいいかわからない人
- 教育資金をどれくらい貯めたらいいのか知りたい人
- 学資保険について知りたい人
- ジュニアNISAについて知りたい人
教育資金はいくらくらい必要?

教育資金が一般的にどれくらいかかるのかを確認したいと思った時には文部科学省が行っている「子供の学習費調査」の結果をまず見てみるといいでしょう。
文部科学省は,子供を公立又は私立の幼稚園,小学校,中学校,高等学校(全日制)に通学させている保護者が,子供の学校教育及び学校外活動のために支出した1年間の経費の実態をとらえる「子供の学習費調査」を,平成6年度より隔年で実施しています。
引用:文部科学省(https://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/mext_00035.html)
令和2年3月現在の最新の結果は平成30年度子供の学習費調査となっています。
学年(年齢)別に見た学習費総額は以下の表のとおりです。

学習費には習い事や塾の費用等も含まれています。
お金をかけようと思えばいくらでもかけられますし、公立か私立かでも金額としては大きく変わってきますのであくまでもこの金額がなければならないということではありません。一つの目安として見てください。
仮に今の水準で幼稚園の3歳から高校3年生までの15年間公立だったとしますと学習費の合計は約540万円、私立だった場合には約1830万円であることがわかります。
そして大学に通うとするとさらにお金がかかります。
国立・公立の大学に4年通うとすると入学金と授業料で約250万円。私立大学は学部によっても大きく変わってきますが300、400万円程度から1500万円を超えるようなところまで様々です。
実家を離れ1人暮らしをするとなれば余計に年間100万円程度必要になることも十分に考えられます。
上記の様なデータから「子ども一人当たり1,000万円用意しましょう。」といった話がよく出てきます。これはある意味正しいですが同時に不安をあおりすぎる表現であるようにも感じます。
そもそも十分にお金があり、私立の学校に子どもを通わせられるような人はおそらくこの記事にたどり着かないはずです。
つまりこの記事を読んでくださっている方はおそらく教育資金を貯めることに不安を感じていたり悩んでいる方だと思いますので最低限の「親としての役割を果たすためにいくら必要か。」「どう貯めたらいいのか。」を考えていきます。
ここで私が皆さんに1つ提案したい教育資金の考え方としては大学入学までに300万円~500万円を貯められれば十分ではないかということです。実際300万円用意できていれば公立大学で自宅から通えれば十分対応できますし、足りないとしても奨学金やアルバイトを考慮すれば全く問題ないと言えるでしょう。
1,000万円という金額だけ聞くととてつもなく大きな金額に感じますが、もちろん一括で必要なわけではありませんし、子どもが産まれる前に用意しておかなければならないわけでもありません。
あくまで一番お金がかかるのは大学生活ということを念頭に置き、子どもが18歳になるまでにいくら貯める必要があるのかを把握することが重要ではないでしょうか。
そこでここからは高校までの学習費については生活費の中から捻出しつつ、大学入学時までに300~500万円用意するためにはどう貯めたらいいかを考えていきます。
児童手当って何?

教育資金の不安がある方にまず知っておいていただきたいのが児童手当です。
中学校卒業(15歳の誕生日後の最初の3月31日)までの児童を養育している方が受け取れるお金です。
児童の年齢 | 児童手当支給額(一人当たりの月額) |
3歳未満 | 15,000円 |
3歳以上~小学校終了 | 10,000円(第3子以降15,000円) |
中学生 | 10,000円 |
15歳の誕生日後の最初の3月31日までとなっているため、誕生月によって支給額に差があり、4月生まれと3月生まれでは11万円の支給額の違いがあることには注意が必要です。
しかしそれでも子ども一人当たり合計で約200万円の児童手当が受け取れます。
私が推奨しているのは「高校卒業までの教育資金は普段の生活費からなんとか捻出し、大学入学までに300万円程度貯めること」なので、児童手当を使わずに全額教育資金の貯金に回すという考え方はありだと思っています。
少なくともこれだけで200万円は貯められるわけですから。
最低限の300万円を貯めようと考えればあと100万円を用意できればいいわけです。
子どもが産まれてからでも18年はあるわけですから焦る必要はありませんし、十分現実的であることは理解していただけたのではないでしょうか。
申請を忘れずに使える制度はとことん使っていきましょう。
正しい貯金の仕方

人間というのは基本的に貯金ができない生き物だと思ってください。
もちろんできる人も中にはいますが、少し油断するとすぐお金を使ってしまうものなのです。
お金があったらやりたいことだとか行きたいところの1つや2つありますよね。要はまだお金がないからやっていないだけの状態なのです。
身近な例でいうと、友人に貸してたお金が返ってきただけでお金が増えた気になってすぐ何か買ったり、飲みに行ってしまう人とかいますよね。(私もそういうタイプ)
お金があれば使ってしまうという心理をどう制御するか。これが貯金をする上で重要になってきます。
詳しくはこちらに書いてます。

ではどう制御するのか。
これはそう簡単に手を付けられない場所にお金を避難させるしかありません。貯金に回したお金は最初からなかったことにするという感じです。
そのために使える制度としても良く取り上げられる学資保険とジュニアNISAについてここからは考えていきましょう。
学資保険って何?

学資保険は耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。
学資保険とは保険料を支払いながら教育資金を貯めることができるという貯蓄性と万が一親が亡くなった際には保険料の払い込みは免除され、満期時に受け取れる金額は変わらないという保険としての面を併せ持ったものです。
基本的に満期時には支払った保険料総額より多い金額が受け取れるためリスクを取らずに確実に教育資金を用意するという点で見ればとても優れた保険だと言えるでしょう。
ただし気になるのはどれくらいの金額を支払い、満期時にどれくらいの金額が受け取れるのかですよね。
実際にとある会社の学資保険でシミュレーションを行ってみました。
満期時受取金を300万円とし、18年間保険料を支払うとすると毎月13,740円という結果が出ました。(これならば児童手当に少しプラスすれば十分払えそうですね。)
これは総額2,967,840円を支払い、満期時に300万円受け取れる計算となるため返戻率は約101%であることが分かります。
支払いの期間や保険会社によって多少返戻率は変わりますが、金利低下の影響を受け、良くても105%ぐらいなのが現実です。
払った金額よりは多いため悪くはないのですが、18年程度資金が拘束されるにもかかわらず良くて5%程度しか増えないということであれば割に合わないともいえるでしょう。
それこそ中途解約するとなると返戻率は100%を下回りむしろ損になりますので無理のないプランニングが必要です。
メリット
- リスクなく確実に教育資金を貯められる
- 親に万が一のことがあっても教育資金を用意できる
デメリット
- 利率はあまり良くない
- 中途解約すると損をする可能性がある
ジュニアNISAって何?

ジュニアNISAはあまりなじみがない人も多いでしょう。
これはつみたてNISAやNISAの教育資金を貯めるためバージョンだと考えていただければよいかと思います。要は投資により子どもの教育資金を準備してもらうために用意された制度なわけです。

ただし注意が必要なのが2023年分までで投資できる期間が終了となることです。
これは利用実績が乏しかったことが理由のようですが、この改正に合わせて使い勝手が良くなるともいえる部分があるため2023年までの利用を検討する余地はあるでしょう。
もともとのジュニアNISAは年間80万円の投資が5年間非課税で運用でき、ただし18歳までは引き出すことができないという制度でした。
しかし改正後は2024年以降であればいつでも払い出し可能となるようです。また、5年間の非課税期間終了後も継続管理勘定という非課税枠が設けられ、18歳までは非課税での運用が可能です。
つまり2020年現在からジュニアNISAを始めた場合には最大で2020年~2023年までの4年間、つまり80万円×4年=320万円分を子が18歳になるまで非課税で運用できるということです。
しかも2024年以降は最悪払い出しも可能なのです。
メリット
- 2020年から始めれば非課税で最大320万円分の運用ができる
- 子がまだ幼ければ18歳まで長期での運用が可能
- 最悪18歳前に払い出すこともできる
デメリット
- 元本より値下がりするリスクがある
- 2023年までしか新しく投資をすることができない
教育資金のおすすめの貯め方

今回は学資保険とジュニアNISAを比較しながら教育資金の賢い貯め方を考えてきました。
しかし正直な意見を述べると今回紹介した学資保険とジュニアNISAのどちらもパッとしない印象です。その理由を少し述べさせていただきます。
まず学資保険です。
子が18歳になるまでに確実に資金を用意できるという点ではとても有効な方法だと思います。
しかし資金がずっと拘束される割には満期になってもそれほど増えないこと、中途解約すると損する可能性もあることを考えると積極的に使うべきだとは私は思いません。
万が一の際に備えるのは生命保険と遺族年金だけで十分です。というよりこれで十分になるように生命保険に加入するのがベストではないでしょうか。
遺族年金についてはどれくらいお金が受け取れるのか事前に把握しておきましょう。

保険は負のギャンブルとも言われ、不幸な時に大金が受け取れるという皮肉な仕組みです。余計な保険に入りすぎてお金がないということにならないようにちゃんと理解しておきましょう。

つまりわざわざあまり資金の増えない保険に加入する必要はないと思います。
続いてジュニアNISAです。
こちらも改正によって使いやすい制度となり、最大320万円を長期間非課税で運用できるのは大きなメリットです。
ただし2023年までしか投資ができないことを考えると、この制度を有効活用するには短期間で結構な額の投資資金を用意しなければなりません。
もちろん320万円フルに活用しなくてもいいのですが、であればつみたてNISAで十分ではないでしょうか。
つみたてNISAであれば2042年までは年間40万円までの投資が最大20年間非課税で運用できます。

つまりジュニアNISAはすでに手元に十分な投資資金がある方は使ってもいいかもしれませんが、そうでなければわざわざ利用する必要はないと思います。
では結局はどう貯めたらいいのか。私の意見を述べさせていただきます。
全くリスクは取りたくない方
全くリスクは取りたくない。という方は学資保険の利用で問題ないでしょう。
低金利の時代なので増えることはあまり望めませんが確実に資金を用意できるというのは堅実な方にはぴったりです。
資金に余裕がありそうな方は一度に支払う保険料を少し高く設定し、期間を短く設定することで多少返戻率を上げることもできます。
リスクを許容できる方
リスクを許容でき、投資に抵抗がない方はつみたてNISAを利用しましょう。
夫婦二人のつみたてNISAを利用すれば年間80万円までの投資が20年間非課税で運用可能です。
もちろん上限まで使う必要は全くありません。ジュニアNISAより使い勝手も良いですし、十分教育資金の用意ができます。
ジュニアNISAはつみたてNISAを使ってなお資金に余裕がある場合に使いましょう。
決めきれずどうしたらいいかわからない方
投資はしたいけどリスクがこわいから教育資金を投資だけで用意するのには抵抗がある方は学資保険とつみたてNISAを併用してみてはいかがでしょうか。
300万円を18年で貯めようと考えると1か月あたり約15,000円の計算です。このうち10,000円を学資保険に回し、残り5,000円をつみたてNISAで運用してみるといった具合です。
この場合学資保険だけで最低でも約200万円は準備できますので投資のリスクはずいぶん抑えられるでしょう。
これはあくまでも一例なので自分好みの割合で設定してみてください。
まとめ
- 教育資金は大学入学までに300万円程度用意できていればOKだと考えよう。
- 子ども一人につき児童手当が約200万円受け取れる。
- 学資保険は確実に教育資金を用意できるが返戻率はさほど良くない。
- ジュニアNISAは制度としては悪くないが2023年までしか投資できない。
- 学資保険とつみたてNISAを自分好みの割合で上手く利用しよう。
今回はハードルを下げるためにも300万円程度用意できればOKということで説明させていただきましたが、余裕がある方は貯められるに越したことはありません。そこは1か月あたりいくら教育資金に回せるかを考えて設定していきましょう。
私の個人的な見解としては万が一の際には生命保険で備え、教育資金はつみたてNISAで貯めるのがいいと思います。
ただし投資にはどうしてもリスクはつきものなのでそこは自己判断でお願いします。

