この記事はこんな方におすすめ
- 投資を始めようと思っている人
- iDeCoって何?っていう人
- つみたてNISAって何?っていう人
- どっちの制度を使ったらいいのか悩んでいる人
iDeCoってどういう制度?

iDeCoってなんとなく聞いたことはあるけどよくわからないって方がほとんどではないでしょうか。
でも安心してください。まだ日本ではあまり浸透していない制度なんです。
しかし浸透していないのは決して悪い制度だからではありません。単純に知られていないだけです。むしろ上手く利用すればめちゃくちゃお得なのがiDeCoなのです。
ではそもそもiDeCoとは何かと言いますと個人型確定拠出年金というもので、individual-type Defined Contribution pension planの略です。
全くよくわかりませんね。注目していただきたいのは「個人型」と「年金」という単語です。
老齢年金だけでは不足すると思われるため、個人で老後資金を準備しましょうという制度なわけです。
ではどう準備するのか?
それはずばり投資です!(※元本確保型もあります。)
そしてあくまで年金という位置づけなので少なくとも60歳まではお金を受け取ることはできないことは注意が必要です。
iDeCoの3大メリット
iDeCoのメリットは大きく分けて3つあります!
- 掛金が全額所得控除
- 運用益が非課税
- 受け取り時の税制優遇措置
①掛金が全額所得控除
投資の掛金の全額が所得から控除されます。

所得税の計算については詳しくはこちらの記事に書いてます。
所得税の計算のもとになる「課税される所得金額」からさらにiDeCoの掛金の全額が控除となります。
詳しく知る必要はないですが、iDeCoの掛金は「小規模企業共済等掛金控除」というものにあたります。
では例を挙げて説明しましょう。(復興特別所得税2.1%は省略します。)
課税される所得金額500万円の人のiDeCo掛金が月1万円、年間で12万円だとします。
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円超~330万円以下 | 10% | 97,500円 |
330万円超~695万円以下 | 20% | 427,500円 |
695万円超~900万円以下 | 23% | 636,000円 |
900万円超~1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
1,800万円超~4,000万円以下 | 40% | 2,796,000円 |
4,000万円超 | 45% | 4,796,000円 |
500万円の場合本来の所得税は上記の表より
500万円×20%-427,500円=572,500円となります。
しかしiDeCoを利用して12万円控除後は488万円が課税される所得となるため
488万円×20%-427,500円=548,500円となります。
572,500円ー548,500円=24,000円税金が安くなりました。
要は12万円×20%=24,000円ですね。これだけの節税効果があります。
さらにそれだけではなく住民税10%も節税になるため、12万円×10%=12,000円。
つまり所得税と住民税で合計36,000円の節税となります。
84,000円で12万円分の投資ができたと考えるとこのお得さが理解しやすいのではないでしょうか。
一般的な投資ではいくら投資したところで何も節税にはなりませんのでこれは大きなメリットです。
損するリスクがあるから投資はちょっと..。という人もこの所得控除があるためiDeCoで定期預金を利用するだけでも十分お得になります。
②運用益が非課税

こちらでも紹介しましたが投資で得た利益というのは本来課税対象であり、約20%が税金で持っていかれます。

しかしiDeCoを利用した場合は利益が出ても税金を払う必要は一切ありません。
上の図でいけば10万円の利益が出たら10万円全てがそのまま受け取れます。
基本的に投資は長期で行った方が複利効果の恩恵を受けられるため強制的に60歳までは引き出すことができないiDeCoとはある意味相性がいいです。
後でも書きますがつみたてNISAも同じく運用益は非課税です。
ただしiDeCoは利益自体には税金はかかりませんが、受け取り方によっては税金がかかる場合があります。
③受け取り時の税制優遇措置
まず受け取り方が実は3種類あります。
- 一括で受け取る(一時金)
- 分割で受け取る(年金)
- ①と②の併用(一時金と年金)
①の一括で受け取る場合は会社の退職金と同じ扱いになります。
(退職金ー退職所得控除額)÷2=退職所得の金額
として計算されます。
勤続年数(=A) | 退職所得控除額 |
20年以下 | 40万円×A(80万円に満たない場合は80万円) |
20年超 | 800万円+70万円(A-20年) |
退職所得控除額は大きな金額となるため上手く活用すれば税金を大きく抑えることができます。
例えば40年会社に勤めて退職金を受け取った場合は
退職所得控除額=800万円+(70万円×20年)=2,200万円となります。
つまり退職金が2,200万円を超えない限り税金がかかりません。
さらに万が一超えたとしても
(退職金ー退職所得控除額)÷2=退職所得の金額
超えた金額の半分だけが退職所得として税金の計算に使われますので税制上大きなメリットとなります。
②の分割で受け取る場合は年金と同じ扱いになります。
年金は雑所得の一部という扱いになります。
給与所得に給与所得控除があるのと同様に年金にも公的年金控除というものがあります。
こちらも給与所得のように金額により計算が異なってくるのですがあくまで今回覚えておいていただきたいのはいくらまで税金がかからないのかということです。
65歳未満は公的年金控除と基礎控除の合計108万円までは税金がかかりません。
65歳以上は公的年金控除と基礎控除の合計158万円までは税金がかかりません。
③一括と分割の併用についてはそれぞれの税金の計算方法を理解した上で税金が一番安くなるように受け取り方を分けるということです。
つまりいいとこどりですね。
①だけでも②だけでもうまく税金を抑えられない場合は③の選択肢が最も合理的であるため、ほとんどの人が③を選択すべきではないでしょうか。
iDeCoの拠出限度額
ここまで紹介してきたようにiDeCoはメリットだらけなわけですが、だからといっていくらでも掛金を増やせるわけではありません。
最低5,000円から1,000円単位で金額を設定でき、年に1度だけ金額の変更が可能です。
ただし働き方や働いている会社によって掛金の上限(拠出限度額)が決まっています。

自営業者は厚生年金に加入できないため拠出限度額も高くなっており、月額6.8万円(年額81.6万円)となっています。
会社員は月額1.2~2.3万円と会社の企業年金等の状況によって異なりますので確認が必要です。ただし、公務員は1.2万円が上限となっています。
専業主婦(夫)は月額2.3万円が上限となっていますが、そもそもそれほど収入がない場合は所得控除を十分に利用することができないため注意が必要です。
iDeCo利用にかかる手数料
そして忘れてはならないのがiDeCo利用時にはいくつか手数料がかかることです。
まずは加入時の初回一回のみ2,829円の加入・移管時手数料がかかります。
そして掛金を支払うたびに最低でも171円の手数料がかかります。
ここで最低でもと書いたのはどの金融機関でiDeCo口座を開設するかにより手数料が変わってくるからです。
ちなみに受け取る際にも一回当たり440円の手数料がかかります。
しかし金融機関によって投資先に大きな違いはないので手数料が安い楽天証券やSBI証券といったネット証券を選んでおけば問題ないでしょう。
初回に支払う金額は確かに大きいですが、所得控除のことを考えればすぐに元が取れる金額なので手数料がかかることはあまり気にする必要はありません。
つみたてNISAってどういう制度?

では一方つみたてNISAとはどのような制度なのでしょうか。

詳しくはこちらをご覧いただきたいのですが、簡単に説明しますと
年間40万円までの投資にかかる運用益が20年間非課税となる制度です。
本来かかるはずの投資利益に対する税金約20%がかからないということですね。
iDeCoにも運用益非課税という点があるのでここは同じです。
そして掛金の金額はネット証券であれば月額最低100円から設定することが可能です。
また、年間40万円が上限のため一月当たり33,000円程度となります。
iDeCoとつみたてNISAの共通点
すこしまとめますとiDeCoとつみたてNISAの共通点は
- 投資を行うための口座だということ
- どちらも定期的に積み立てて投資を行うものだということ
- 運用益が非課税であること
iDeCoとつみたてNISAの相違点
一方、iDeCoとつみたてNISAの相違点は
- iDeCoの掛金は所得控除になること
- iDeCoは運用に手数料がかかること
- iDeCoは受け取り方によっては税金がかかること
- つみたてNISAは20年以内ならいつ引き出すこともできるが、iDeCoは60歳までは引き出せないこと
- 掛金の最低額、上限額
結局どっちを使えばいいのか?

では結局どっちを使えばいいのでしょうか。
わたしのおすすめとしてはiDeCoを上限額まで利用して、まだ投資資金があるようであればつみたてNISAを併用するという方法です。
ここまでで紹介した通りiDeCoのメリットは非常に大きいです。まずはiDeCoを使えないか考えてみていただきたいです。
ただしここでネックとなるのがiDeCoは60歳までは引き出せないということです。お金が十分にある人であれば問題ありませんが、いつお金が必要になるかはなかなか予測できません。
もしかしたら急に金が必要になってしまい、iDeCoに投資した資金があればなぁなんて状況にならないように注意が必要です。
その点つみたてNISAであれば(もちろん長期で投資するに越したことはありませんが)最悪投資をやめて資金を引き出すことができます。
確かにその通りだと思う方におすすめなのは少額だけでもiDeCoを利用して、その他の投資資金をつみたてNISAで運用する方法です。
少額でも所得控除を利用することはメリットが大きいですし、将来のために確実に資金が貯められるというのは意志の弱い人にはぴったりです。
それでも投資はしてみたいけどそんなに資金もないのでiDeCoは厳しいという方はつみたてNISAだけでも利用してみたらいかがでしょうか。
そもそもすぐに必要になりそうなお金は投資に回すべきではないのですが、少額からでも始められて投資の勉強ができるのはつみたてNISAの大きなメリットです。

投資の勉強におすすめの本はこちら。

どのように投資先を選べばよいかはこちらで確認してください。