この記事は
- 年金の保険料が高くて払いたくない人
- 年金じゃなくて自分で積み立てたい人
- 年金がなくなったらどうなるのか気になる人
に向けて書きました。
年金は積立方式じゃなく賦課方式

もしも年金が無くなったらの話をするためにはまずは年金がどういう仕組みになっているかを知っていただく必要があります。
よく誤解されがちですが、年金は皆さんが支払ったお金を老後そのまま受け取れるわけではありません。
正しくは、皆さんが支払ったお金がその時年金を受け取っている方々に支払われています。
前者を積立方式と言い、後者を賦課方式と言います。
つまり、日本全体で仕送りをしているような状態だと考えていただければイメージしやすいかもしれません。
そして年金がない状態というのは自分で自分のお金を貯金することになるため積立方式と同じことになります。
賦課方式のメリットデメリット

では積立方式ではなく賦課方式を使っているのはなぜなのでしょうか。
メリット
- その時の貨幣価値で年金を受け取ることができる!
例えば積立方式で100万円貯まったとします。ただし物価が上がり、ラーメン1杯10万円の時代が来てしまえば、せっかく100万円貯めたのにラーメン10杯分の価値しかなくなってしまうわけです。
これは極端すぎる例ではありますが、インフレにより今と将来の貨幣価値が変わっているのはほぼ間違いないでしょう。
そうなると最低限の生活に必要な金額すら賄えないかもしれないのです。
その点賦課方式であれば、その時の貨幣価値で年金が受け取れるため、物価が上がればそれに連動して受け取れる年金額も増えるので安心です。
- 生きている限り年金を受け取ることができる
積立方式では積み立てた金額で全額であるため有限です。全て受け取ってしまえば、そのあと受け取れる金額はありません。
しかし賦課方式では日本全体での仕送り方式なので、生きている限りはずっと年金を受け取ることができます。例え120歳まで生きたとしても年金が最低限の生活を支え続けてくれるます。
平均寿命が延び、長寿化している今日でも安心なのです。
- 所得の再分配を行うことができる
賦課方式では年金の保険料は給料が多い人ほど高い金額を支払う構造になっています。そして年金を受け取るときには払った金額が少ない人の方が払った金額に対する割合としては大きな金額を受け取れる仕組みになっています。
つまり稼ぎが少ない人の方が年金は有利にできています。
なぜこのような仕組みになっているのか。
これは貧富の格差をできるだけ埋めるためであり、所得の再分配と言います。
デメリット
- 払い損になる可能性がある
積立方式であれば支払った金額全てを受け取る権利があるでしょう。しかし賦課方式では年金を受け取り始めてすぐ亡くなった際には払い損になる可能性があります。(逆に払った金額以上をもらえる可能性もあるわけですが。。)
あくまでも年金は年を取って働けなくなった際や、障がいを負った際、一家の大黒柱が亡くなった際といった急に収入がなくなった時の生活を支えるという役割であるためとはいえ、これはデメリットと言えるでしょう。
- 子どもが多い家庭であれば余計な保険料を払っている感覚になる
年金は日本全体での仕送りのようなものだということはお伝えしました。
では子どもが多い家庭ではどうなんでしょう。
子どもが多ければ年金がなくても将来子どもたちから仕送りをもらい生活していくことは十分できるでしょう。そして、その方が払う金額も少なくて済むでしょうからデメリットにいれました。
ただし子どもの子どもが多いとは限らないということまで考えていくと、これもなかなか難しい問題だと思います。
もしも年金が無くなったら

ついに本題に入ります。もしも年金が無くなったらどうなるのでしょうか。
インフレのダメージを直接くらう
物価の変動をもろに受けるため、今まで貯めてきたお金の価値がインフレにより激減する可能性があります。
過去にドイツではハイパーインフレが起こり、札束を持って買い物に行ったり、札束を燃やして暖を取ったりした時代がありました。
親に仕送りが必要
親が資産家なら別ですが、親の貯金が底をつけば結局子どもが親に仕送りする必要が出てきます。最悪の場合夫婦それぞれの両親ということを考えると4人分の仕送りが必要になってしまうかもしれません。
自分たちの生活だけでも精一杯なのに仕送りなんてできるのでしょうか。しかも長生きすればするだけ負担は大きくなります。
いくら貯金すればいいのかわからない
いつまで生きるかは全く分からないため、どれくらい貯金できていれば十分なのかは誰にも予想できません。
長生きすればするだけ減っていく貯金に絶望を感じる人生となってしまうでしょう。どれくらいお金を使ってもいいかがわからないため、旅行や遊びにもなかなかお金を使えないかもしれません。
生活保護受給者が増える
万が一貯金が底をついて、頼れる人がいない場合には生活保護を受給するしかありません。
人間はお金があると使ってしまう傾向にあるため、強制でもされないとなかなか貯金はできないものです。
まして、平均寿命が延びる日本で自分が思っていたより長生きしてしまった時には貯金が底をつく人は後を絶たないでしょう。
税金負担が増える
年金は皆さんが支払う保険料が元になりますが、生活保護は全てが税金で賄われることになります。
もし生活保護受給者が増えれば税金の収入を増やすために何らかの形で税負担が増えることになるでしょう。
年金の保険料を払わなくていい代わりに税負担が増えるわけです。
しっかり民間の保険に入る必要あり
年金は老後だけでなく、障害を負った際や、一家の大黒柱が亡くなった際にも受け取ることができます。
つまり最低限の生活を保障する保険の役割を担っているわけです。
年金が無くなるということは、民間の保険のみでしっかり備える必要があり、この保険料が結局高くなってしまうことは避けられないでしょう。
貧富の格差拡大
所得の再分配が行われないためお金がない人は生活保護に頼り、お金がある人はそのお金を使って資産を増やすという貧富の二極化が進むことになるでしょう。
こうなってしまうとお金がない人が這いあがることはどんどん難しくなってしまいます。
最後に
金持ちで、子供が多い家庭の人が年金制度を批判するのはある程度仕方ないと思います。長生きしなければ不利になる可能性があるわけですから。
しかしそうでない方にとっては年金は思っているほど悪いものではありません。むしろお金がないという人ほど年金は利用する価値があるものです。
メディアや周りの言葉に流されてしまっていませんか?
確かに高い保険料が負担になっているのは事実です。しかしそれも老後のため、障害を負った時のため、自分が亡くなった時のためと考えると必要な出費ではないでしょうか。
これを機に年金について学んでいただければ幸いです。


