年金

平均寿命ではなく平均余命をもとに年金受給額の損得を考えた結果!

うしくん
うしくん
極論を言うと早く死んだら老齢年金って払い損になるってことだよね?
てらこー
てらこー
本質としてはそうだね。
うしくん
うしくん
僕、長生きできる自信ないんだよなぁー。
てらこー
てらこー
みんなそう言うんだけど、逆に長生きしちゃうことも考えないといけないよ!
うしくん
うしくん
確かに。平均寿命も延びてるしなぁー。
てらこー
てらこー
そうそう。今回は年金を考える上で重要な平均寿命と平均余命について紹介するね!

 

この記事は

  • 年金ってどうせ払い損なんでしょ?と思っている人
  • 平均寿命まで生きたら年金ってどれくらいもらえるのか気になる人
  • 平均寿命と平均余命の違いが分からない人

の悩みを解決するために書きました。

 

年金の保険料っていくらなの?

そもそも年金の保険料はいくらなのか。

まず、年金は学生やフリーランスの方が属する国民年金と、会社員や公務員が属する厚生年金に分かれています。

国民年金は毎月一定の金額となっており月額16,410円(令和元年度)です。

厚生年金は月給によって支払う保険料が変わり、だいたい月給の9.15%が皆さんの支払う保険料です。

例えば月給30万円であれば、月額27,450円です。

 

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受け取れる老齢年金の金額は?

 

今回は

  1. 20歳から60歳まで(480月)国民年金のみ加入した場合
  2. 20歳から60歳まで(480月)平均月給30万円で厚生年金に加入した場合

の2パターンについて考えてみましょう。

 

①20歳から60歳まで(480月)国民年金のみ加入した場合

①の受け取れる金額は

780,100円×(納付月数/480月)で求められ

今回の例では

780,100円×(480月/480月)=年額780,100円

となります。

 

国民年金の総支払保険料は

16,410円×480月=7,876,800円

 

なので元を取ろうと思うと

7,876,800円÷年額780,100円≒10.1

つまり今の水準では10年程度受け取ればいい計算になります。

年金は一般的に65歳から受け取り始めることを考えると75歳まで生きればだいたい元が取れてしまうということです。

 

 

②20歳から60歳まで(480月)平均月給30万円で厚生年金に加入した場合

②の受け取れる金額は

標準報酬月額×(5.481/1000)×納付月数で求められ

今回の例では

30万円×(5.481/1000)×480月=年額789,264円

となります。

また、厚生年金加入者は国民年金にも加入している扱いとなるため老齢基礎年金も受け取れます。

これは①と同じ計算となるため、年額780,100円です。

つまり合計すると年額約1,569,000円となります。

 

厚生年金の総支払保険料は

27,450円×480月=13,176,000円

 

なので元を取ろうと思うと

13,176,000円÷年額1,569,000円≒8.4

つまり今の水準では8年程度受け取ればいい計算になります。

年金は一般的に65歳から受け取り始めることを考えると73歳まで生きればだいたい元が取れてしまうということです。

 

平均寿命まで生きたら元が取れるのか?

では日本人の平均寿命はどれくらいなのでしょうか。

平成 30 年簡易生命表によると、男の平均寿命は 81.25 年、女の平均寿命は 87.32 年となり前年と比較して男は 0.16 年、女は 0.05 年上回っている。

出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/life/life18/dl/life18-02.pdf

平均寿命は2018年の時点でおおよそ男性が81歳女性が87歳ということです。

私は長生きする自信がない人もこのデータは必ず頭に入れておいてください。この年齢まで死ねない可能性は高いわけです。

 

さきほどの①、②の例ではそれぞれ75歳、73歳くらいまで生きれば元が取れるという計算だったためこの結果は衝撃ではないでしょうか。

つまりこのままの水準であれば平均寿命まで生きると超余裕で元が取れ、それどころかそうとうプラスになるということです。

 

ただしここで誤解しないでいただきたいのはあくまでこのままの水準で行けばの話だということです。

日本は少子化も進行しており、今後物価や賃金も変動していくことはまず間違いないでしょう。

そうなれば年金額も財源が枯渇することがないように、受け取れる金額が減ることや受け取り始めの年齢が上がることは避けられません。

つまり、若い世代が年金を受け取るころにはここまで余裕で元が取れるということはないと思ってください。

 

 

少々悲観的になってしまいましたかね。

ただ元が取れないとも言っていません。

それでは今回の話の核となる平均寿命と平均余命の違いについて紹介します。

平均寿命と平均余命の違い!

平均寿命というのは今0歳の人がこのままいけば何年生きられるかを表したものです。

あくまで亡くなった人の年齢を平均したものではないので、ご注意ください。

 

対して平均余命とはある年齢の人がこのままいけば何年生きられるのかを表したものです。

例えば今60歳の人はこのままいくと85歳まで生きるでしょうというのが平均余命の考え方です。

つまり平均寿命というのは0歳の人の平均余命とも言えます。

 

そして一般的に乳幼児など幼いころの死亡率が比較的高いため、年を重ねるごとに生きるであろう年数は長くなります。

では年金を受け取り始める65歳における平均余命はどれくらいなのでしょう。

表1 主な年齢の平均余命
(単位:年)
年齢
平成30年 平成29年 前年との差 平成30年 平成29年 前年との差
0歳 81.25 81.09 0.16 87.32 87.26 0.05
5 76.47 76.30 0.16 82.53 82.48 0.05
10 71.49 71.33 0.16 77.56 77.50 0.05
15 66.53 66.37 0.16 72.58 72.52 0.06
20 61.61 61.45 0.16 67.63 67.57 0.07
25 56.74 56.59 0.15 62.70 62.63 0.07
30 51.88 51.73 0.15 57.77 57.70 0.07
35 47.03 46.88 0.15 52.86 52.79 0.07
40 42.20 42.05 0.15 47.97 47.90 0.07
45 37.42 37.28 0.14 43.13 43.06 0.07
50 32.74 32.61 0.13 38.36 38.29 0.07
55 28.21 28.08 0.13 33.66 33.59 0.07
60 23.84 23.72 0.12 29.04 28.97 0.07
65 19.70 19.57 0.13 24.50 24.43 0.07
70 15.84 15.73 0.11 20.10 20.03 0.07
75 12.29 12.18 0.11 15.86 15.79 0.07
80 9.06 8.95 0.12 11.91 11.84 0.08
85 6.35 6.26 0.09 8.44 8.39 0.06
90 4.33 4.25 0.08 5.66 5.61 0.05

出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/life/life18/dl/life18-02.pdf

 

平成30年の65歳のところを見ますと

男性は19.70年、女性は24.50年となっています。

つまり65歳から男性は19.7年、女性は24.5年生きるでしょうということになります。

 

よって65歳になった時は男性は84.7歳まで、女性は89.5歳まで生きることを想定しておくべきでしょう。

 

平均寿命の男性が81歳女性が87歳と比べても+2,3年長く生きる想定です。

ここまで長生きすることをちゃんと考えられてる方はいるでしょうか。

貯金だけで備えるのも限界があります。

 

最後に

年金はもともと損得で考えるべきものではありませんが、高い保険料を支払うわけですから気になるのは当然だと思います。

しかし年金額は常に一定ではなく、その時の経済状況や人口、寿命などに応じて決まってくるものであるため将来どうなるかは誰にも分かりません。

わからないからこそ最低限の生活を保障するために年金があるのです。

わかっているなら個人でいくら貯金してくださいね。で済むわけですから。

 

ただ今回の記事内容を振り返ると、(貨幣価値なども考慮すると難しいところではありますが、)将来受け取れる年金額が少なくなったとしても元が取れる確率は高いのではないでしょうか。

 

具体的な年金額は個人の記録によるところが大きいためねんきんネットでご確認ください。

 

 

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